実施履歴
松村 英斉 先生 (済生会宇都宮病院 循環器内科)
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この度はwatch and discussionでご指導を頂く貴重なご機会を頂き、誠に有難うございます。
1例目は大きなLCXを有するLM-LADの高度狭窄病変の患者様でした。ご年齢やLMT病変の存在からend pointはstent cross overと考えましたが、側枝保護のために対側のplaque reductionが望ましいIVUS所見であったため、DCAを施行しました。
個人的にはいつも通りの手技を行ったつもりでしたが、土金先生より自分のcutting styleの誤りを沢山ご指摘頂き、とても気づきがありました。DCAを挿入する際のwindowや、切削中の手元のたわみ、また回転させる時の前後運動は左手のみではなく右手も連動させる、など、基本的な事ではありますが今まで落としてしまっていたpointをご指摘頂き、大変勉強になりました。また、削りが悪くなってきた際に安全な方向のみ長軸を移動させるという判断が迅速にできなかった点については、手技中に頭をflexibleにできなかった自分を反省しております。普段何気なく施行していたLM-LADのDCAですが、こんなに間違っていたのかと、大変勉強になりました。2例目はLAD中間部の短いCTOで、末梢の血管性状が悪い患者様でした。CTとAngioでentryを把握していたつもりでしたが、手技中に実は誤認していたことが分かり、IVUSでentryを確認しなおしました。すでに出してしまっていたXTAでwiringを開始しましたがdistal cap 付近が硬く穿通できませんでした。そのため、GN2にescalationしましたが逸れてしまい, CP12でPWTへ移行しましたが、これも取り直すことができませんでした。CP12の挙動は直進傾向で、flexibilityが低すぎると考えられたので、まずはCP12をGN2と同じrouteに誘導しなおした後に、GN2をseesaw wiringの要領でdeflectionさせて真腔を得ることができました。
反省点は、沢山あります。Dual tip injectionによるentryの詳細な評価の必要性、XTAの操作が普段と異なってしまったこと、bail out strategyとして考えていたretrograde approachのchannelの選択、何よりPWTにおける2nd wireの選択。PWTについては、CTOの中間部から硬い感触があったので、「弾かれて外側に逸れた」のかと思いCP12を選択しましたが、実際にCP12を操作してみると、明らかにde-escalationが正解であったと気づきました。翌日、その理由を解剖学的な特徴から詳しくご教授くださった土金先生のFeed backはとても分かりやすく理解することができ、大変感銘を受けました。知識を貯めて、詳細なstrategyを練ることはもちろん重要ですが、術中の感触や所見から臨機応変に方針を組み替えていくことは、もっと重要であると思います。今回の2症例は、その点で遠回りをしてしまったり、誤った選択をしてしまったことが、自分の中での最も大きな反省点です。一直線に正解手を打ち続けるような手技ができるよう、もっと修練が必要だと感じました。この度は大変貴重なご機会を頂き、誠に有難うございました。