実施履歴
羽賀 智明 先生 (豊田厚生病院 循環器内科)
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症例は80歳台後半のproximal LADのCTOでした。
Retro側のガイドカテのエンゲージ、wedgeのために難渋し、タイムロスからスタートしました。
大きなD1から分枝するLADのCTOであり、2つのCTOはそれぞれ10mm程度で#4PDからseptal channelが多数, 屈曲は少ないが狭窄を有するapexからのdirect channelとconusからは中之島が造影されている症例でした。Antegradeのtip injectionでmicro channelの存在を疑いXTRを少し試し、次にD1からIVUSを観察しながらTip detectionでentryに入り、Gaia next 2にてconusから造影される中之島を捉え、再度IVUS観察を行いました。二つ目のCTOの血球エコーが見えたため、もう一度XTRを試して、IVUS上でも隔壁ありと判断し直し、Angio guideでGaia next 2再度CTOに進入しました。一度wireが対角枝方向にズレたため、修正してD3との分岐直上からdistal capをpunctureしてdistal true lumenを捉えました。IVUSを観察すると修正を要した2nd CTOの部分でsub intimaに入っており、distalでtrue lumenに戻っていました。D2は救えなくなる状況でしたが、そこには拘らず予定通りD1の狭窄に対してscoring balloonでの拡張・DCB、jailed balloonを行いLAD-LMTへ2本のDESを留置して血行再建を行いました。Antegradeの3D wiringでdistal true lumenに到達し、時間がかかりすぎず手技が完結できたのは良かったのですが、再現性に欠ける手技であったのも事実でした。
最大の反省点は事前のAngio, 当日の同時造影でdouble CTOであることを読みきれておらずRetro switchのタイミングを判断できなかったことでした。土金先生からはdouble CTOでなおかつ2つ目のCTOの形態が読めていれば、形態的に1つ目のCTOをprimary Anteでクリアし、2つ目のCTOはRetroを組んでreverse CARTに持ち込んだ方がスマートでカッコいいPCIになったはずだと教えていただき、今回のPCIの理想型と反省点が明確になりました。術前に考えていたRetro channel選択の優先順位についてもフィードバックいただき大変勉強になりました。Retroも含めてPCI全体で再現性のある手技を行えるように、基本であるAngioの読影からレベルアップしたいとより強く感じました。個人的には前回より反省点が多いと感じていましたが、「それは先生が成長して視野が広がったからだ」とコメントをいただき、励みになりました。
今回2回目のWatching & Discussionでしたが、自分自身で判断して行った手技に対する土金先生からのフィードバックは他のWSでは味わえない学びがあるので、是非、他の先生方にもお勧めしたいです。このような機会をいただき、ご指導をいただいた土金先生、関係者の皆様方に感謝申し上げます。