実施履歴
赤澤 良太 先生 (広島ハートセンター 循環器内科)
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RCA 高度石灰化病変に対するPCIをproctorご指導頂きました。
70歳代女性、労作性狭心症、6-7年前にRCA入口部から#1にステントが3枚重ねで留置されている症例。今回のターゲットは#1(stent distal edge).90%、#2.90%、#3.90%。#2はアンギオでS字に屈曲しており、CTでスパイラルに石灰化が連続。
Rt femoralから8Frシースを挿入。バックアップが必須だったが、RAの可能性も考慮し、アンプラッツではなく、IMを使用。ワイヤーは#2MLD部分をSIONが通過せず、2nd カーブをつけたXTRも通過せず、2ndカーブの形状を少し変えたSION blackが通過。その後のZizaiは追従せず。バルーンの匍匐前進を試みたが#1の病変が障害となり、デバイスがなかなか通過しなかった。ガイドエクステンションが#1にdeep seatしている状態での手技となったので虚血が遷延。鎮静・鎮痛を十分に行い、その上で血行動態が維持できるよう昇圧薬を使用。目的とする手技に向かって的確に指示を出していくよう土金先生からの檄が飛び、腹をくくる。
#1の肩を降りるところの石灰化でデバイスの障害ポイントがあり、これ以上GECが進まなかった。#2MLDには小径バルーンが通過したが、バルーンがrupture。バルーンが無効であり、RAで切削する方針へ。通過性を重視して使用していたGECをRA compatibleなGECに変更し、floppy wire+1.25mm burrで#1を切削。#2までは切削しきれなかった。
#1を2.5 mm cutting, 3.0mm cuttingと処理したことでGECが遠位に進むようになり、#2MLDに2.5mm cuttingが到達。インデンテーションなく拡張。 #3の病変に1.25mm, 2.25mmセミコンで拡張し2.25mmでアンカーしながらGECが#2カーブを越えるあたりまで進め、ステント留置の予定だったが、欲が出てしまい#3にDCBデリバリーを試みたところこれが通過せず。そうこうしているうちにGECのポジションを失い、仕切り直しとなったが、最終的に#2から順にステント留置し、本幹TIMI IIIで終了。RV枝の造影遅延によりCK 962 U/Lまで上昇し、軽度の右室梗塞を認めたが、術翌日にはバイタル安定し胸部症状も消失している。
これまで経験したことがないタフなRCA石灰化症例でした。致命傷を回避しつつどこまで手技を継続するか、プロクターシップでないと経験することは難しい症例でした。 #2まで削るにはどうしたら良かったか、手技を振り返ることができればと思います。
このような機会を与えていただき心より感謝申し上げます。ありがとうございました。