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一般社団法人YES Foundation

 EVT Academy


本邦で循環器内科医がEVTに目を向けはじめ、20年程が経過し、そして独特な文化(と言ってもいいと思われます)が培われてきました。特に014ガイドワイヤー(GW)を主としたマイクロカテーテル(MC)、バルーン等のデバイスの開発が行われてきました。先人の先生方のご尽力により、GW, MCにおいては、おそらく製品数はPCIでのラインアップをこえ、多岐にわたる用途に対応してきた経緯があります。そして、GW, MCともPCI領域に逆輸入され、使用される製品も現れています。

「重症虚血肢」
また、本邦では、腸骨動脈領域、大腿動脈領域、膝窩動脈の病変に対しては、100%に近い成功率を達成している現状と思います。そしてその長期成績はDCB、DESといったfinalizing deviceの成績とその適当な選択により、改善も見込める時代になりました。しかしながら、CLTI症例がその治療対象となる膝下動脈病変(特に透析症例での石灰化病変)に対する治療方法、治療成績は、確立されてはおりません。また、GW通過さえ困難な救肢の難しい、長期予後不良な疾患群であることは、変わらない事実として我々の前に立ちはだかっています。このEVT ACADEMYで、実臨床で最も難しいこのテーマをとりあげることを、理事長より拝命いたしました。この場を通して、CLTIにおけるEVTについてのみならず、Peripheral GW、MCの選択や、テクニックの基本と詳細の解説をシリーズとして展開したいと考えています。

「穿刺にはじまり、止血におわる」
また、心血管系のインターベンション治療は、「穿刺にはじまり、止血におわり」ます。大口径ガイディングカテーテルを用いたPCIは、大腿動脈アプローチとなることが多く、その穿刺部合併症(特に出血性合併症)につき、negativeな意見も少なくありません。ACSにおいては、TFIが治療後のイベントに対して、劣勢である論文も報告されています。しかしながら、PCIあるいはEVT procedureだけでなく、IABP, ECMO, Impella等のCardiac supporting deviceや、SHDにおけるカテーテル治療の際の、主なアプローチサイトになる総大腿動脈(CFA)の穿刺、術前術後のマネージメント、ベイルアウト法を学ぶことは非常に重要です。この項目については、PCIを主にされる先生方、特に止血、術後の管理を任される若い先生方の目に触れるよう、企画していきたいと考えています。

2022年12月 
越田 亮司(星総合病院)



本邦におけるEVTはこの10年で大きな変化を遂げました。puncture needle、guidewire、microcatheter、CTO crossing device、balloon catheter、scaffold等、かつては海外との歴然としたdevice格差の中、限られた選択肢から術者として「苦渋の選択」をせざるを得ない場面も多々ありました。一方で、この格差を補うべく、手技の中で創意工夫がなされてきたという歴史もあります。近い将来atherectomy deviceも使用可能となる日が見えてきた現在、deviceの選択肢も増え、日常診療では「苦渋の選択」を迫られる機会は激減しましたが、慢性期の開存率等、長期成績という点においては、PCIに比べ、まだまだ満足できる結果ではないのが現状です。特に、通常のballoon angioplastyという選択肢しか持ち得ていないCLTI症例の膝下動脈病変に対するEVTの成績は、膝上病変のそれに比べ非常に厳しく、CLTI診療に携わるには相当の覚悟が必要となります。

日々、末梢動脈疾患に向き合われている皆様の診療の一助となりますような企画を御提供させて頂ければ幸いです。

2022年12月 
丹 通直(時計台記念病院)

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