実施履歴
新関 武史 先生 (公立置賜総合病院 循環器内科)
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この度は、watch and discussionにてご指導の機会を賜り、誠にありがとうございました。
【RCA (#1) CTO】
本症例は、2011年の時点でRCA CTOが確認され、以降はmedical followの方針で経過観察となっていた患者様ですが、近年、労作時の胸痛が出現するようになったことから、この度、PCIを施行する方針となりました。
病変長は短いものの高度の石灰化を伴っており、CTO近位部にも高度狭窄を認めました。また、RCAは、やや後方へと走行する解剖学的特徴があったため、術前にVRシミュレーションを行い、最適なGCを選定しました。さらに、先端チップを曲げて同軸性を得られるよう工夫しました。幸いにも、GCのback-upは良好であり、安定して手技を行うことができました。Interventional septal channelが認められたものの、CTO近位部の処理が必要である点、およびAntegradeでのGW通過の可能性もあったことから、Primary antegrade/Rescue retrogradeの戦略としました。本症例は、14年以上経過しているCTO病変であり、LADおよびLCX病変も高度石灰化により難渋した経緯がありましたので、RCA CTOも非常に硬いのではないかと予想しておりましたが、幸い、DLC + GN2 から GN3へとステップアップし、最終的にはAntegradeからGWの通過に成功しました。非常に発達したseptal channelも認められたため、antegrade wiringがずれた場合には、Retrograde approachへの移行も視野に入れていました。そのため、自分としては、慎重に、しかし少し大胆にantegrade wiringを行わせて頂きました(土金先生からは、「別に大胆ではない」と一蹴されてしまいましたが…)。
Retrograde approachの選択肢も準備していましたが、最終的にPrimary antegradeで治療が完了できたことは、患者様にとっても負担が少なく、良好な結果であったと考えております。次回は、Retrograde approachについても御指導頂けましたら幸いです。反省会では、「GN3でもpenetrationが不可能な場合に、更にGWをstep-upするか否か」についてご質問を頂きました。私は、step-upを検討しておりましたが、その前に、バルーンスクリーンを試した方が、より安全であるとの御指摘を頂き、非常に勉強になりました。
また、GW通過後からステント留置に至るまでの過程においても、- Antegrade MCを進め過ぎた点、
- その後のAntegrade MCからの不要なtip injectionの実施
- 不必要なIVLの使用、IVLのサイズ選定、IVL使用後にPOBAを省略した点
など、多くの貴重な御指摘を頂きました。
次回は、より減点されないよう一つひとつの判断を丁寧に行い、より良い手技ができるように努力してまいります。
最後に、このような機会をいただき、ご指導いただきました土金先生、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
