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一般社団法人YES Foundation

 CKD Academy


本邦の約2000万人、すなわち成人の5人に1人が慢性腎臓病(CKD)で、透析患者は約35万人にのぼると推測され、今後高齢化が進むにつれて更なる増加が見込まれております。CKDは末期腎不全、心血管死、全死亡などの重篤なイベントの強力なリスク因子であるだけでなく、ステージが進むほど心血管疾患イベント、心臓死、全死亡のリスクが高くなることが報告されております。CKDの治療目標は、末期腎不全への進展阻止、CKDステージの進行に伴う心血管疾患イベントの発症予防、そして死亡リスクの軽減といえます。また、CKDと心血管疾患は共通のリスク因子を持つだけでなく、神経体液因子や尿毒症関連心血管危険因子等により双方向的に発症することが知られており、昨今、心臓と腎臓の相互作用によって引き起こされる心腎関連症候群という概念が提唱され、集約的な治療戦略が求められております。

我々インターベンション医にとってもCKDはcommon diseaseであり、低心機能状態とともにPCIの治療戦略に大きな影響を及ぼす患者背景の1つといえます。

我々がCKD患者のPCI周術期に最も懸念するのは造影剤腎症(CIN)です。CINの発生頻度は過去に比較すると減少したと言われておりますが、CIN→透析導入となると生命予後だけでなくQOLも著しく低下しますし、透析までいかなくとも腎不全ステージが進行することによる心血管イベント増加の潜在的なリスクが懸念されます。CINの病態、確実な予防法、臨床的な意義はまだ解明されておりませんが知識の整理とupdateが必要と思われます。

また、CKD症例、透析症例では高度石灰化病変が高頻度に認められます。IVUS/OCTなどの血管内イメージング、病理学的な評価が追求され、アテレクトミーデバイス/クラッキングデバイスを用いた治療技術も洗練されてきましたが、再狭窄率/長期予後などの未解決の部分が多いのが現状です。石灰化病変に関しましてはリン-カルシウム代謝などの我々が普段気にかけていないような腎臓内科的な視点の新しいアプローチも有用となってくる可能性があります。

このアカデミーでは、心血管死/全死亡の強力な予後規定因子である腎不全という病態について理解を深め知識をupdateし、インターベンショニストとしてCKDとどのように関わっていくべきかを腎臓の専門家と共に考察していければと思います。

2025年11月 
黒木 一公(宮崎県立延岡病院)
細木 信吾(細木病院)


座 長: 黒木 一公(宮崎県立延岡病院)
細木 信吾(細木病院)
顧 問: 上田 誠二 先生(島根大学 統合腎疾患制御研究・開発センター 腎臓老化制御部門 特任教授)
御略歴 戸井田 達典 先生(東邦大学医療センター 大橋病院 腎臓内科 臨床准教授)
御略歴
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