老爺の独言
YES Collegium:第6回 YES 北の国から:The 6th VIDEO PROCTOR Live
2025年08月08日
今回のビデオライブ症例を拝見して
ほぼほぼアンテ縛りのLAD-CTOに対して、最終的にはTDを用いて見事に血行再建されていました。が、しかし...
レトロが出て早20年、昨今はTD法も普及するなどテクノロジーの進化には素晴らしいものがあると思います。でもだからと言ってCTO PCIの基本を疎かにしていいと言う訳ではありません。
本症例の治療経過を拝見して大事な基本2点をスルーしていると思いました。
- 出来れば急性期PCIの時、最低でもCTO PCIの際の最初にRCA入口部にあるconus branchを選択的に造影する事。LAD近位部やmid CTOにconus branchからcollateralが入るのは常識。本症例のように同時造影でもCTO断端がクリアに描出されない病変では、 特にconusの確認はスルーしてはいけません。勿論実際に描出されるかどうかは別ですが、術者プロクター含めてスルーしたのは私としては看過出来ません。CTAで確認したという意見もあるかも知れませんが、解像度の違いを考えれば自明。
- もう一つはXTRの使い方。GCからの造影でtapered entryがあったのでその選択には異論ありませんが、問題は使い方。所謂micro channelが有ればスルスルと進む事はたまに有りますが、本症例では途中でXTR先端が止まりシャフトが撓んでいるのに更に使い続けた事。撓むのは既に先端荷重が負けている証拠なので、その時点ですぐにGN1などにステップアップが必要です。使い続けたが故にサブに迷入し、結果的にIVUSガイドせざるを得なくなった訳です。早くステップアップしていれば真腔を捉え続けて完遂出来たかも知れません。初心者がそういうワイヤー操作をしてしまうのはよくある事ですが、プロクターにはそれを修正させる責任があります。
あとこれはおまけですが、CTO断端からXTRがずれたのを対側造影で確認出来た時点でPWTという引き出しもワンチャンあった、とも感じました。
「基本に忠実に」
人生の全てに通じる忘れてはいけない格言です。
2025.08.13 土金 悦夫
