実施履歴
松村 英斉 先生 (済生会宇都宮病院 循環器内科)
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この度はW and Dのご機会を頂き、誠に有難うございます。
土金先生に非常にご丁寧にfeed backを頂き、私にとって本当に勉強になる一日となりました。今回の症例はLAD中間部のCTOで、病変長は10mm程度と短いですが、PTLと病変内に極めて高度な石灰化を伴うCTOでした。
〇 Proximal true lumen
事前に2.0mmのrotaを施行しておりましたが、びまん性狭窄が残存しておりました。〇 Entry
大きなdiagonalとのbifurcationがentryでした。〇 Exit
septal channelを介して良好に描出されますが、性状はpoorでした。major supplyのseptal channelの流入口はdistal capに近い位置に流入しておりました。〇 Body
CTで、内腔が石灰化で埋め尽くされていました。〇 collateral
non-promisingなseptal channelがありました。distal capに近い位置に流入しておりましたが、のりしろがあり、使用可能と考えました高度石灰化のためにantegrade での1punctureで通過する可能性は低いと考えておりました。先述のようにdistal capに近い位置にcollateralの流出があり、anteからhematomaを来すと同部位をcompromiseすることで重篤な虚血を来す可能性があり、retroへ行くタイミングを逸しないことが重要と認識しておりました。
最も重大な反省点は、術前の準備が不十分であったことです. Entryのdiagonalの入口部に高度石灰化の狭窄があったのですが、同部位はwire biasがあまり良くないため事前の切削をしていませんでした。そのため、antegrade の手技時にかなりsevereな虚血を生じてしまいました。同様に、collate sourceとなる#4PDの付け根にも、扁平な病変を認めており、こちらも術前に把握はしており扁平なので問題ないと踏んでしまっていたのですが、実際に手技をすると石灰化であるためか大きなフリクションを生んでしましました。また、上がったretroのwireにMcを上げるだけでもsevere な虚血を来し、AnteからもRetroからも持ち込むことが出来ず、手技を終える結果となってしまいました。
術前にsmall burrでDと#4PDへablationを行っていたら、違う結果に終わっていた可能性があったと、患者さんに申し訳ない気持ちです。特に、「Retroのrouteにある病変は、疑わしきは罰する」というのは基本で、自分も理解して普段実践しているつもりでしたが、この病変がここまで酷いことになるとは思っておらず、見立てが甘かったと反省しております。他にも、
- CTで高度石灰化に見えても、鬼のお面をかぶった幼児の可能性がある(punctureのsystem, wire)
- IVUS見過ぎ.
- Anchor 邪魔過ぎ.
- KUSABI事件 (問題が起こった時ほど視野を広く)
- 細心かつ大胆に
など、これからPCIに向き合い続けていく上で自分の課題となる重要な教えを沢山いただきました。
また、そもそも小開胸でのCABGを積極的に考えるべき症例であったとも反省しております。昨日のことは一生忘れないと思います。
もっと成長して, またW and Dに応募したいと思います。
貴重なご機会を頂き、有難うございました。