実施履歴
羽賀 智明 先生 (豊田厚生病院 循環器内科)
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この度はこのような機会をいただきありがとうございました。土金先生にWatchしていただいている環境で程よい緊張感をもって、普段通りの手技に徹することを心がけました。
治療対象の病変はRCA #2のCTOでした。
実際の閉塞長は10mm強の石灰化の無いentryもstumpを有する難易度の高くない病変だったと思います。問題点としては順行性のbridge collateralの血流のために、診断カテと事前のCTからは#3の閉塞の有無が判断できず、CTOのdistal exitが描出できないことでした。
術前のStrategyではinterventionalなcollateralとして複数のseptal channelがあるため primary retroを考えていました。当日の同時造影では術前よりもAnteから#2 distalで比較的直線上にexitが描出されたためAnteで開始する方針に切り替えました。Miracle Neo3→Gaia next 2→Gaia next 3までstep upを行い、Anteからの造影でintima内のfalse lumenと判断しました。1st wireはMiracle Neo3に交換し、Gaia next 4でparallel wiringを試みました。Gaia next 4はむしろ1st wireよりもtrue lumenから遠ざかってしまうためRetroに切り替えました。SUOH03が比較的スムーズにchannel通過することが出来たもののCaravelがchannel通過せずGCがキックバックするためにballoon Anchorを用いてchannelを通過させることが出来ました。Retroからのtip injectionを行うとAnteの1st wireがtrue lumenに入っていることがわかり、wire通過に成功しました。
病歴や造影所見からpositive remodelingした血栓病変が疑われ、IVUS上でも同様だったのでFiltrapでの末梢保護を行なった上でlong inflationとStent留置、後拡張を行い、合併症なく手技を終了しました。普段何気なく行なっていた手技・デバイスの選択をDiscussionの中で一つ一つ振り返ることができ、その手技や選択がなぜだめで、なぜそのように改善する必要があるかを本質から学ぶことが出来ました。特にCTO手技の基本中の基本であるAntegradeのMicro catheterの位置の問題については、自身の手技を大きく改善させることが出来そうです。Meet upでも話題に上がっていたseptal channelのcheckのためのtip injectionが最大の減点ポイントでした。実は土金先生のコメントを事前に拝聴していたのですが、「普段通り」を心がけていたので当日はそのままの手技を行なっていました。これについても、なぜやってはいけない手技なのか、次はどのようにすべきなのかも本質を理解するというところに近づけたように思います。
次も機会があれば、是非ともご指導いただきたいと考えております。土金先生をはじめ、関係者の皆様方に感謝申し上げます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。