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一般社団法人YES Foundation

2024年1月

黒木 一公(宮崎県立延岡病院)
黒木 一公(宮崎県立延岡病院)

この度理事の末席に加えて頂きました宮崎県立延岡病院の黒木一公と申します。
錚々たるメンバーの中で大変恐縮です。

私は2003年に熊本大学を卒業後、熊本大学の循環器内科医局に入局しました。2005年より故郷の延岡病院に赴任し、はや20年目になります。医師3年目よりカテを握り、多くのPCIを経験させて頂きました。「数は力」という言葉がありますが、私は長い間PCIのスキルを磨くには1st operatorしての症例数が最も大事だと誤解しておりました。しかし、自施設で症例を多く経験しても、PCIの成長曲線はある一定のレベルに収束していくのを感じ、自信をもってComplex PCIに挑むことのできない時期が長く続きました。

井の中の蛙のBreakthroughとなったのは、土金先生、そしてYES clubの系譜を引く先生方に出会った事でした。YES CLUB九州で発表させて頂いたり、CTO Hands-on Workshopにもオーディエンス、そして術者として参加させて頂き、術前の治療ストラテジー検討やデバイスの使い分けなど、論理的なPCIに触れる中で、自分に足りない要素が何なのか解りました。PCI手技が成功するための解は1つではないですし、術者によってやり方が違う場合もあると思いますが、エキスパート術者の手技は根底に確固たるロジックが存在すると感じました。

#事前に万全の治療計画を練った上でシステムを構築する。デバイスの特性を理解し正しい引き出しを正しい順番で使い、行き当たりばったりの手技をしない。

#回り道をしてでも確実な(再現性のある)方法を選択。崖から落ちたら終わり。

#「過程」が大事であり結果オーライの手技になってはならない。

#「木を見て森を見ず」になってはならない。

これらの観念を体現できる術者に近づけるよう、YES Foundation会員の皆様とともに研鑽して参りたいと思います。

また、論文執筆についても微力ながら協力できればと思います。Single centerのRetrospective studyでも十分な価値があると思います。重要なのは日常感じている仮説を堅牢な方法論で抽象化できるかどうかだと思います。PCI手技に一石を投じるような論文はPCIオペレーターこそが書けるものであると思っております。

私の知識や技術はまだまだ未熟ですが、(まさに過去の私のように)地方病院において日常業務で忙殺され、学ぶ機会の少ない若い有望な先生達にとっても技術/キャリアの向上に有用なコンテンツを提供できるよう尽力したいと思います。